シンボルマーク制作
シンボルマークを考える工程
シンボルマークを考えるにあたっては、プロジェクトのコンセプトを踏まえた上で、そのシンボルマークが何を表現しているのか、ということをはっきりさせておくことで仕上がりのイメージにブレがなくなります。
ということは、コンセプトやキーワードが定まっていないと、何のためのシンボルマークなのか、ということが伝わらないということです。
ここでは、シンボルマークの制作に絞って考え、ロゴタイプなどの文字は入れないことにします。
シンボルデザイン案制作のおおまかな流れはこのようになります。
- キーワードの選定とモチーフが持つ象徴(意味)のリストアップ
- モチーフの原型をスケッチ(原型案)
- 原型案を組み合わせてシンボルデザイン案を作成
選定やラフ案のバリエーション数は場合によって変動しますので、目安と考えてください。
1 -1シンボルで象徴するキーワードを選定
プロジェクトのコンセプトから考えられる「キーワード」を10点程度考えます。
「キーワード」は具体的なモノでも、概念でも、理想像など、どいういったことでも構いません。
プロジェクトの特徴や、登場人物、関連する小物や、年代、色使いなどや伝えたい想いや理想、メッセージなどでもよいでしょう。
例として、「スポーツイベント」から考えられることはこのようになります。
- 競技場
- トラックフィールド
- ボール
- 平和
- 交流
- ダイナミクス
- 汗
- 暑い
- メダル
- 栄光 など
数が多ければよいということでもありませんが、少なすぎるとこのあとの組み合わせのアイデアがふくらみません。
コンセプトやターゲットから外れることなく、また、偏りすぎないように幅を持たせたチョイスをするとよいでしょう。
1-2 モチーフと象徴する意味のリストを作成
選定したキーワードをモチーフと象徴(意味)に振り分けていきます。
モチーフ=名称(図で具体的に表せるもの)
象徴=モチーフの意味するもの
と考えるとよいでしょう。
例1)
[キーワード]トラックフィールド
→ [モチーフ]並行する白線
→ [象徴]緊張感
例2)
[キーワード]トラックフィールド
→ [モチーフ]トラックフィールド(俯瞰図)
→ [象徴]競技場の高揚感
ひとつのキーワードに対してモチーフや意味が複数あっても構いません。
例)
赤い→りんご
特産品→りんご
モチーフの名称に対してそのモチーフが意味する象徴の組み合わせリストを作成します。
キーワードがモチーフになるのか、象徴となるのかを考えて振り分けますが、同じキーワードからいくつかのパターンが生まれることもあるかと思います。
ここでキーワードから多少変更があっても、そこから派生して生まれたものをここで追記編集しても構いません。
そうすると、そのリストは当初のものよりだいぶ増えてくるのではないでしょうか。
そこで、効率的に進めるために、当初より増えてしまったモチーフのリストの中から似ているもの、関連性の低そうなものをはぶいて、10点程度になるように絞ってください。
データを削除するのではなく、対象外とするものを背景色をグレーにする、もしくは行の上下を入れ替えるなど工夫して、どれが採用リストなのかわかるようにしておきます。
2 モチーフの原型をスケッチ
それぞれのモチーフを表す原型を紙にスケッチします。
いろいろなアイデア、パターンを描き出してください。

アイデアやイメージした形をストレートに記すためには紙に手描きがよいでしょう。鉛筆やペン、色は色彩イメージの書き込みでも色鉛筆などでも充分です。
この段階において、デザインソフトやアプリでのカラー設定などは、イメージをふくらませるための妨げになることがありますのでむしろしないほうがよいでしょう。
3-1 モチーフ原型を組み合わせてバリエーションを作る
スケッチしたモチーフ案を組み合わせて、シンボルマーク全体のイメージ像を作成します。この作業は手描きでも、データで作成しても構いません。やりやすい方法で作業を進めてください。
モチーフの同じ組み合わせでも向きやそれぞれの大きさが違うことでいくつかのバリエーションができると思いますので、それぞれ数パターン作っておいてください。いくつか作って見比べることで、バランスやアイデアのブラッシュアップにつながります。
最低でも3つの組み合わせを考えたとして、それぞれ4つのバリエーションがあると、それだけで12点の案ができることになります。
大きなプロジェクトになると100案以上のスケッチを行うこともあります。
3-2 最終候補案を絞り込んでデザイン案を作成
その中から、最終候補案を3点に絞り込んで、シンボルマーク候補案(ラフ)とします。
ここでもできるだけ似たような案に偏らないように、幅広い案が選べるとよいでしょう。
最終候補だけまとめるにあたり、ここでもう一度バランスを見直すなどしてあらたに描き直します。
塗りや線の太さ、角のつけかた、影やコントラストなどを考えます。
場合によってはカラー設定を検討として着色しても構いません。
Illustratorで作業している場合はアートボードを追加しておくと最終案だけまとめられるのでよいでしょう。
今回は仕上げ・フィニッシュ作業までは行いませんが、このあとで、最終案が決まったら、デザイン細部の調整やカラーの決定、展開案などを作成することでシンボルマークが完成します。