読者層・ターゲットを意識したデザイン
メディアのターゲット・読者(フォロワー)層
ほぼ全ての雑誌にはターゲットとなる世代、性別、嗜好性などをまとめたターゲット層と雑誌のコンセプトが存在します。
読者層はそのまま消費者層といいかえることもできるかと思います。
雑誌の分類としては男性誌、女性誌、カルチャー誌、専門誌など大きな分類から、ファッション誌、生活誌、スポーツ誌、ビジネス誌など、少し細かな分け方もできます。
また、ひとくちに女性ファッション誌というなかでも、さまざまなターゲット層を想定して分類することができます。
赤文字モテ/ガーリー/ストリート/ハイファッション/ゴシップ/モデスト/ギャル/オフィスコンサバ
また、そのコンセプトやスタンスは、雑誌のキャッチコピーにも表れています。
マガジンハウス社の雑誌一覧から見てみましょう。
https://magazineworld.jp/magazines/
hanako
東京をおいしく生きる女子たちへ
GINZA
センスのいい女性も憧れるモード系ファッション誌
POPEYE
シティボーイのためのファッション&カルチャー誌
Tarzan
快適なんてカンタンだ!
&Premium
The Guide to a Better Life
&Premiumに関しては、雑誌のコンセプト設定に加えてウェブサイトにおけるコンセプト設定の記述もあります。
テーマは同じでも、コンセプトによって表現は変わってくる
同じテーマでも10代向け、20代女性向け、20代男性、60代以上の女性向けでは表紙デザイン、誌面レイアウトについての考え方がかわってきます。
20代女性向けの中でも、アウトドア派、インドア派、カジュアル、ラグジュアリーなど志向別に分類が可能であり、コンセプトによって表現のよしあしは一定ではなく、常に変化します。
また、使用するビジュアル素材(写真、イラスト、ムービーなど)、カラー設計、タッチや装飾の使い方などデザインの手法が変わってきますので、各誌のコンセプトを理解した上で改めてデザインを見直してみることが大切です。
デザイナーが読者層に届くものを作るために必要な感覚は、消費者層の好みに合わせるだけでなく、ユーザーが見ているもの(憧れている対象)は何か、さらにはその先でクリエイターたちが何を考えているのか、ということに触れることができればさらに表現の質があがります。
購読者層から考える雑誌デザイン考察の例
雑誌の読者層・ターゲット層を考え、その層に沿った使用素材、カラー設計、デザインの特徴を考えてみます。
ここでは、女性向けアウトドア雑誌である「ランドネ」を例にして考えてみます。
媒体名:ランドネ エイ出版社
ターゲット層
登山・ハイキングが好きなだけでなく、自然の中での料理やアクティビティにも関心が高く、アウトドアイベントや音楽フェスなどのカルチャー層とも重なるところがある。自然とのふれあいを日常の中にも取り入れ、ライフスタイルとアウトドアファッションの融合を楽しむアクティブな30代-40代女性を中心とした層を読者に持つ。
使用素材
情報誌としてだけでなく、ファッション誌としての側面を持たせるために、ターゲット層に志向にあったファッション誌や生活雑誌で活躍する写真家やモデル、イラストレーターに依頼する写真やイラストを表紙に使用しているのではないでしょうか。
カラー設計
アースカラー(茶、ベージュなど)+ビビッドな差し色(朱やイエロー)を使うことが多いようです。
自然との共存、共生の意識があり、女性の好むライフスタイルマガジンとして見せる色の選びかたに思えます。
デザインの特徴
ゆったりとした印象を持たせるために適度や空間を意識し、情報を詰め込みすぎないように注意が払われているようだが、「自分らしく自然を楽しむ」とコンセプトページにあるように、自然体な楽しさが前面に出ています。
また、写真の上に手書き文字を白抜き載せなどすることで、男性向け高齢者向け登山誌などと差別化された、やわらかい雰囲気を作り出しているようです。
ここであげた読み解きは一例です。
みなさんもコンセプトと読者層を想像しながら、自分でデザインの読み解きをしてみてください。