PhotoshopとIllustratorの特徴

Photoshopの特徴

Adobe Photoshopは、画像の加工やウェブやスマートフォンアプリなどデジタルデバイス(パソコンやスマートフォンなどの端末のこと)向けの制作に相性がよく、ビットマップ画像(ピクセル)の編集を得意とするため、主に写真や絵などを含むデータを扱うことが多いアプリケーションです。

ビットマップ画像はピクセルと呼ばれる小さな粒の集まりでできているため、精細な描写が得意な反面、拡大してそのピクセルが見えてくると画像が荒れて見えてくるという特徴があります。

他社からも多くの画像編集アプリケーションは発売されていますが、特殊な場合を除き、各種制作業界でのスタンダードとして扱われています。
そのため、Photoshopは紙への印刷を前提としたアナログ媒体はもちろん、ディスプレイなどでの表示を前提としたデジタル媒体、静止画、CG、モーショングラフィック、ムービー、アニメーションなど幅広い分野でのビジュアル制作に欠かせないスキルとなります。

よく使われているファイル形式

psd形式

拡張子 .psd

フォトショップの基本的なファイル形式
レイヤーやフィルター、効果などを含んだまま保存できるが、非圧縮なのでファイルサイズは大きくなりやすい

jpg形式

拡張子 .jpg/.jpeg

写真を保存する基本的な形式
レイヤーなどがあっても保持されずに統合されてしまうが、データが圧縮されるのでファイルサイズは小さくなる

png形式

拡張子 .png

jpeg同様にデータは圧縮され、写真など画像を保存するのに向いているが、jpegと違い透明な背景を持つことができる

この他にも多くの形式を取り扱うことができます。

Photoshopが得意とすること

1 画像の調整(レタッチ)

写真など画像のタッチやトーン、強弱などを詳細に調整することができます。
モノクロームやセピア調などの雰囲気にしたり、食べ物を美味しく見えるような調整、肌をきれいに見せるなどができるようになります。

スマホアプリなどでそのような効果やフィルタが手軽にできるのは、このようなよく使われる調整が何パターンか用意されていて(プリセット)、そこから選ぶようになっているのです。
広告・出版や映像制作、ウェブサイト・アプリやアーティストの作品制作などのためのレタッチは非常にシビアな結果を要求されるため、そのようなプリセットではカバーすることができません。(当たり前のことですが)
Photoshopなどの画像調整アプリケーションを使用して必要な画像を作れるようになることは色々な分野で役に立ちます。

レタッチの基本

明度 明るい ↔︎ 暗い
彩度 鮮やか ↔︎ くすんだ、にぶい
色相 暖色系 ↔︎ 中間色系 ↔︎ 寒色系
コントラスト 高い、はっきりした ↔︎ 低い、

これらの調整をフォトショップなどの画像調整アプリケーションを使って行います。
レベル補正
トーンカーブ
色域調整

レタッチの基本を知っていると、SNSでの投稿に使用する画像やスマートフォンで使用する画像編集アプリを使う時にも役立ちます。

2 画像の加工・切り抜き、合成

Photoshopで行うレタッチでは画像をどういう風に見せるかという調整を説明しましたが、その他にも多くの加工を施すことが可能です。

2枚の画像を組み合わせた画像を作成したり、スポットライトを追加したり、写り込んでいた不要なものを消したり、画像を加工することで好みの結果を得ることができます。

3 ブラシやペンツールでの描画

筆のタッチや色使い、絵筆のようにPhotoshopを使うことで、デジタルアートの制作にも使用されています。
ブラシツールを使い、筆で描いたような人の手によるランダムな描画も、均一な太さの線などデジタルならではの無機質な表現も可能です。

4 ウェブ・アプリの制作にも使われる

基本的にビットマップ画像の編集を行うため、ウェブサイトやアプリなどのインターフェイスデザインにも使用されています。
画像編集やボタン・バナー制作だけでなく、全体のレイアウトデザインにも使用されていて、バージョンアップとともに使用分野は広がっています。

モバイルアプリとの併用

Photoshopのような詳細に調整できる機能にはかないませんが、モバイルアプリでもレタッチの基本を体験することができます。
また、外出先でひらめいたアイデアをモバイルアプリで形にして、デスクに戻ったらPhotoshopで細部の仕上げ作業を行うというようなことも可能です。

Adobe Photoshop Fix
スマートフォン、タブレットで高度なフォトレタッチが可能

Adobe Photoshop Mix
スマートフォン、タブレット(ipadのみ)で切り抜きや画像の合成が可能

基本的な機能は無料で使用できますが、アプリ内での課金があります。

Illustratorの特徴

Illustratorはベクターデータ(ドローとも呼ばれます)と言われる、点と点を結んで描画するタイプのアプリケーションです。直線や曲線などを描いたり、多角形を組み合わせたりすることでレイアウトやパーツ制作などを行います。

Illustratorで使われるファイル形式

ai形式

拡張子 .ai

作業データはこのai形式で保存することがIllustratorの基本です。

pdf形式

拡張子 .pdf

Illustratorがない環境のパソコンなどでも開くことができるので、外部に渡す時などに別名保存して使われることが多い。内容によっては再編集すると予期せぬ結果を起こすことがあるので、作業データの保存には不向き。

Illustratorが得意とすること

印刷物のレイアウト

ハガキサイズのDM、B5変形サイズの雑誌表紙、A2サイズのポスター、など印刷物を制作するためのベースとなるレイアウトに使われます。
ただし、100ページを超えるような分量を管理することは向いていない。(ページ管理が向いているのはAdobe Indesignなどのエディトリアルソフト)

パーツ制作

ロゴマーク、イラスト、キャラクター、アイコンや図面などの制作に使われます。
写真などの素材を使わず何もない状態から作ることが基本。

点、線、面が描写の基本で、これを組み合わせることで複雑な描写ができるようになります。

モバイルアプリ

モバイルアプリでは現在のところIllustratorの機能を再現するのは難しいところです。
レイアウトのイメージをラフに掴むためのAdobe Compがあるので、構成を把握するためのカンプ作成には役立ちます。